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修理録(8)松代焼


お湯呑(松代焼)の割れを継ぎました。破片は全部で9片。欠片の残っていない部分は錆漆(砥粉と漆を混ぜたパテ状のもの)で充填しました。

破片が多い分、修理の手応えもちがいます。パズルのように黙々と組み立てていく工程では無心に。マスキングテープで固定し、約1ヶ月かけて接着部分の漆を固めます。

十分に固まったところで、はみ出した漆を削ぎ落とし、すきまのある部分は錆漆で埋め、さらに1週間ほどかけて乾燥。充填部分も研いでなだらかに整え、接着部分に沿って漆を数回にわたって塗り重ねていきます。そして仕上げに。4ヶ月近い時間をかけて、ようやくお返しできました。

お湯呑みはご家族の方が手作りしたものだそうです。高台にはかわいらしい銘が入っていました。仕上げの化粧に使った銀は、経年変化が楽しめるのがいいところ。はじめは光が強いですが、しだいにいぶし銀のような渋い色合いに変わっていきます。きっと使うたびになじんでいくことでしょう。

漆で接着しているところ。ずれないように慎重に。はみ出したところは綿棒でふきとり、なるべくきれいにしておきます。

中央部、銀の面積が広い部分は破片が残っていなかったため、錆漆で埋めたところです。

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